お風呂は実はとても疲れる
『お風呂に入るとよく寝れる』説は多くの人が信じている説ですよね。
その理屈としては
・お風呂はリラクゼーション効果があるから
と思っている人が多いみたいですが、実はその逆の効果が強かったりします。
お風呂が身体に与える影響を考えてみると
・静水圧
・体温上昇
・浮力
あたりかと思います。
そのうち、浮力に関しては身体の負荷を減らしてくれるものなので、リラクゼーションよりの効果を発揮するかと思います。
ですが、静水圧と体温上昇はそうではないんですね。
まず静水圧とは、要は水圧のことなのですが、身体に水圧がかかるとどうなるか。
圧力が身体にかかるとシンプルに負荷になります。
そこで血管の状態がどう変化するかを考えてみると
・血管が細くなる
ように水圧は作用します。
つまり、血圧が上がるということ。
さらに水圧によって、本来は(お風呂に入っていない状況)下半身にあったであろう血液が、上半身に配分される傾向が強くなります。
その結果、心臓へ戻る血液が増えるので
・心臓がいつも以上に拍動する
ことになります。
血管が細くなるのは血管が収縮するのと同じような現象で、心臓の拍動が強くなるのも合わせて考えると、
・交感神経の働きが高まっている状況
と等しいものがありますよね。
次は体温上昇についてです。
体温が上昇すると身体にどんな反応が起きるかというとめちゃくちゃシンプルですが
・体温を下げようとする
反応が起きます。
そして体温を下げるために身体がすることと言えば
・発汗
ですよね。
でもお風呂の中のような水中での発汗は体温を下げる作用を持ちません。
※汗が蒸発する際に体表の熱を奪うので体温が下がります。
なので、お風呂の中での発汗が体温を下げてくれないので、体温が上がりやすいワケです。
ただ、その他に体表への血流を増やすことで体表から熱を奪われやすくしようともするので、ここでもやはり
・心臓の拍動が強くなる
必要があるんですね。
静水圧によって血管は細くなるけれども、体温を下げるためには血流を増やさないといけない(血管を拡げる方向に働きます)という矛盾した状況にはなりますが、それはお風呂の中という特殊な状況だからです。
お風呂に入った際に起きる身体の反応を考えると、交感神経の働きの方が高まりやすいです。
そして、心臓の拍動が強くなるなど心臓への負荷がかかるので、疲れてしまうワケです。
仕事や部活などでクタクタになるとお風呂に入るもの忘れて寝てしまうように、疲れるとよく寝れますよね。
そういった状況をお風呂に入ることで作れるんですね。
だから、お風呂に入るとよく寝れるんです。
あとは、お風呂は交感神経が働きやすいと言いましたが、交感神経の働きが高まるとその反動で今度は副交感神経が働きやすくなります。
結果としてリラクゼーションに働くということです。
という感じがお風呂と睡眠の関係です。
お風呂に入ることで心がリフレッシュできる面も確かにあるので、リラクゼーション効果があるとも言えますが、身体の反応を考えると逆の効果のほうが強いでしょう。
お風呂での事故(高齢者の死亡例も多い)もけっこうあるくらいなので、身体に完全に優しいものではないことは知っておいたほうがいいと思います。
まあ、運動で身体に負荷をかけることが健康にいいように、お風呂で身体に負荷をかけるのもアリですね。