運動によって遺伝子が変わる
運動によって痩せる、ダイエットできるというのは、多くの人が認識していることです。
ですが、運動をして消費カロリーを増やすだけで痩せるのはおかしいという考え方もあります。
それは、カロリーの考え方で行くと、摂取カロリーよりも消費カロリーが勝っていれば痩せるという理屈に基づいていると思いますが、摂取カロリーが減ることで代謝が落ちるという面もあるからです。
ですが、実際に運動をすることで痩せることができるので何か理由があるはずです。
その理由の一つが
・エピジェネティクス効果
です。
運動とエピジェネティクスの関連を考察します。
エピジェネティクスとは?
エピジェネティクス効果とは簡単に言うと
・遺伝子が変化する
ことです。
変化する、と言ってもそんな大げさなものではなく【遺伝子のスイッチが入る】という具合です。
ハッキリいて遺伝子が【書き換わる】レベルのことはあり得ないので。
元々持ってる遺伝子の性質が出るか出ないか、くらいです。
その遺伝子の変化を専門用語で
・DNAのメチル化
です。
メチルとは【メチル基】という遺伝子のパーツの一つで
化学式は【-CH3】
です。
それが遺伝子を構成する4つの主役の一つである
・シトシン(C)
にくっつくことで【メチル化】となります(メチル化のほとんどがシトシンとの結合で起きる)。
他の3つの主役は
・アデニン(A)
・グアニン(G)
・チミン(T)
ですが、中でもシトシンはメチル化によって【抑制】する方向に遺伝子の性質を傾けます。
この【メチル化】によって
・脂肪を溜め込む機能
が抑制されて、太りにくくなればダイエットには有効です。
運動で痩せるのは消費カロリーが増えるから?
やっと本題に入れますが、運動によって痩せるのは実は
・肥満遺伝子が運動刺激に誘導されてメチル化する
からだ、とも考えられます。
運動の刺激によって、少なくとも物理的な力が細胞に加わりますし、ホルモンの変化もありますし、血流の変化もあります。
個人的には筋収縮での物理的な力や血流の変化による細胞周辺の圧のギャップが生まれることで、それを細胞が感知してメチル化を促すのでは?と思っています。
※メチル化を誘導する酵素を細胞は持っています。
細胞力学、メカノバイオロジーという分野があるのですが、その学問によると細胞は周囲の環境(空間)の物理的な変化を感知して、その働きを変えるようなので、細胞によって物理的にな力は一つのスイッチになりえます。
それは運動によっても起きることです。
HIIT(高強度インターバルトレーニング)を行うことで痩せやすい、というのは強度の高い運動ほど細胞に対して物理的な力を加えるから、メチル化が起きやすいんじゃないかと思います。
メチル化、脱メチル化
ここで一つ悲しいお知らせがあります。
メチル化があるということはその反対もあるワケで、それを
・脱メチル化
と言います。
なので、一度肥満遺伝子の抑制スイッチが入ったからといって、一生そのままというワケではないんですね。
運動をやめると体重が元に戻りやすいのは、メチル化して入ったスイッチが脱メチル化によってまたオフになっている、といった面もあるんでしょうね。
なにはともあれ、やはり運動はダイエットには必須ということですね。
身体に物理的な力、大きな力を加えるほど肥満遺伝子のメチル化(抑制)が起きるのであれば、高強度の運動ほど痩せやすいというのもうなずけます。
軽めの運動も良いですが、効率を上げたいなら強度(負荷)は挙げていったほうがいいんでしょうね。